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球面を平面に


地図を“投影する”とはどういう意味なのでしょうか? 地表の様子を平らな紙の上に描く方法を説明します。



■ ボールは平らにできない

地球儀は地球の形態がそっくり縮小されていますが、持ち運びにも使用にも不便なため、やはり平面に描く必要があります。市街地図のように数十km程度の領域であれば、地表を平面であると考えて、縮尺の操作だけで紙の上に描いていくことができます。しかし1国から大陸、さらに全世界へと領域が広がっていくと、球面を平面に展開するための処理が必要になります。しかしボールにはいくらハサミを入れても完全に平面にすることはできません。どのようにしたら平面に展開できるでしょうか?


■ 衛星写真

地表の様子を平面に描く方法としてすぐに思い付くのは衛星写真です。気象衛星は地球の半分をきれいに写し出してくれます。自由に移動できる衛星を想定して、そのカメラに写るであろう形状を計算によって求めれば地図を作成することができます。しかしこの地図は世界地図としてさまざまな要求に応えることができるでしょうか? まず全世界を一度に描くことができません。さらに面積を比較することも、方角を図ることも、距離を測ることも、そして緯度を比較することもほとんどの場合できないのです。
(図:異種外射方位図法では宇宙からの映像を表現できるのだが)
異種外射方位図法による地球概観図


■ 影絵

ガラスでできた地球儀を考えてみましょう。表面には地形が描かれています。この地球儀に光を当て、スクリーンに影を映します。影絵と同じです。この方法なら地表の様子を平面に写し取ることができます。

(図:地球スクリーンには東西が反転して映っているため裏側から眺めることになる。)
影絵の解説図


■ 投影のしくみ

光源から放射された光はガラスの地球儀を通り、スクリーンに投影されます。東西が反転するため、人間はスクリーンの裏から眺める形になります。球面から平面への展開は、地球・光源・スクリーン(投影面)の組み合せによっておこなわれます。この原理によって考案された地図の描きかたを「地図投影法」といいます。

スクリーンに投影される影は、光源の位置やスクリーンの形状によって無限に変化します。形が変わるだけでなく性質も変化します。ある組み合わせでは緯線を水平に投影できます。別の組み合わせでは面積を正しく表現できます。円筒型のスクリーンなら全世界を投影することも可能です。しかし完璧な組み合せは存在しません。このために多くの地図投影法が考案されてきましたが、それぞれに固有の特徴があり、適した分野があるのです。



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